大阪市は、日本を代表する「水都」です。
「水都」といわれる川沿い・海岸沿いを歩き、実際の水景を堪能した様子をブログで紹介することにしました。
歩く道中にある史跡や観光名所、美味しい酒と肴も味わいながら、「水都」を案内します。
1.大阪「水の回廊」とは
記念すべき第1回は、大坂「水の回廊」といわれるロの字型の形状をした川・堀などを歩きます。
1-1.大阪「水の回廊」
大阪「水の回廊」は、
・東:東横堀川
・南:道頓堀川
・西:木津川
・北:土佐堀川
を配置し、ロの字を形成しています。
位 置 | 川 の 名 称 |
東側(川) | 東横堀川 |
南側(川) | 道頓堀川 |
西側(川) | 木津川 |
北側(川) | 土佐堀川 |
大坂「水の回廊」内には、
・大阪府庁舎
・大阪市庁舎
・国の出先機関
などが集積しており、近畿地方の政治・行政の中心地となっています。
また、企業の本社も集積しており、昔から「商人の町」といわれ、経済の中心地でもあります。
さらに、上方落語・吉本・松竹といった「お笑い」の中心地でもあり、文楽などの伝統芸能の中心地でもあります。
忘れてはいけないのが、
・難波の「食い倒れ」
・京の「着倒れ」
と昔からいわれるように、大阪は食の中心地でもあります。
大坂「水の回廊」は、ちゃんこ鍋のように、政治・行政・経済・文化・お笑い・グルメなどの素材が、4川の水により一緒に炊きこまれて、「おもろい文化」を醸成しています。
先ずは、4川の中の東横堀川から歩くことにします。
1-2.東横堀川
東横堀川は、豊臣秀吉の命により開削され、南北に貫かれた公儀の堀です。
数多くの堀が開削されましたが、第1番目に開削されたのが東横堀です。
道頓堀川は、浪花商人である安井道頓が私財を投げうって開削した堀です。
木津川・土佐堀川は、元から存在した川です。
これらの川や堀は、豊臣政権から徳川政権、明治・大正・昭和の初期まで、物流の中心として活躍しました。
東横堀川の特徴として、大半を阪神高速道路が覆っています。
また、高潮対策・水質浄化を目的として東横堀川水門が、土佐堀川との分岐部近くに設置されています。
2.東横堀川ウォーキング:中之島→葭屋橋→農人橋
土佐堀川と堂島川に挟まれた中之島からスタートします。
ここで、中之島から平野橋までのウォーキングルート図を挙げます。
(中之島 → 葭屋橋 → 平野橋)
2-1.土佐堀川・東横堀川分岐部
中之島から土佐堀川と東横堀川との分岐部を撮影しました。(写真3)
葭屋橋が架かる
中之島を後にし、天神橋を渡り、東横堀川の始点へ向かいます。
2-2.東横堀川1番橋:葭屋橋(よしやばし)
東横堀川の第1番目の橋は、葭屋橋(よしやばし)です。
東横堀川1番橋の葭屋橋と2番橋の今橋は、隣接しています。
左岸側で葭屋橋の親柱と今橋の親柱とが重なります。
親柱が重なるのは、珍しいです。
2-3.東横堀川2番橋:今橋(いまばし)
東横堀川の第2番目の橋は、今橋(いまばし)です。
Δ写真9.今橋の舗装面
目の前の橋は葭屋橋
目の前は東横堀川水門
今橋の右岸橋詰に立派な案内板が建っていました。
今橋の歴史や江戸時代の様子が記されていますので、引用します。
ただし、一文の文章が長いので、短めに区切りました。
2-4.東横堀川3番橋:高麗橋(こうらいばし)
東横堀川の3番目の橋は、高麗橋(こうらいばし)です。
高麗橋は、江戸時代において、京都の三条とを結ぶ京街道の終点でした。
また、東海道五十三次は、
・江戸の日本橋
・京都の三条
を結ぶ街道の宿場町の数を表しました。
一方で、
・東海道五十三次
・京街道
を合わせて、東海道五十七次と、当時の大坂では呼ばれていました。
東海道五十七次の終点は、高麗橋になります。
当時の高麗橋界隈は、江戸の日本橋界隈に匹敵する賑いでした。
東横堀川の下流側右岸から撮影
Δ写真13.高麗橋の舗装面
阪神高速高麗橋ICの入り口
高麗橋の親柱が良い雰囲気を醸し出しています。
高麗橋の下流側左岸橋詰は、阪神高速道路高麗橋インターチェンジの入り口となっています。
見えるのは東横堀川水門
2-5.澁谷利兵衛商店(しぶたにりへいしょうてん)
高麗橋の右岸橋詰近くに、江戸時代1724年(享保9年)の創業以来、約300年に亘り営業を続ける「澁谷利兵衛商店(以下、澁谷商店)」があります。
主に結納品・祝儀用品などを扱うお店です。(※1)
Δ写真16.現在の澁谷商店
2-5-1.e-よこ会(東横堀川水辺再生協議会)
澁谷商店の代表取締役である澁谷善雄さんは、「東横堀川水辺再生協議会(e-よこ会)」(※2)の会長もされています。
せっかく近くを通りましたので、澁谷会長に挨拶をしに行きました。
そこで、頂戴しましたのが図2の江戸時代の頃と思われる澁谷商店の絵図です。
繁盛している様子が絵図からもうかがい知れます。
2-5-2.居酒屋「うるる」
昼時ということもあり、澁谷会長に昼食の美味しいお店を聞きましたところ、「うるる」という店を紹介してもらいました。
早速行くことに!
お店の看板には、「牛タンしゃぶしゃぶと日本酒飲み放題のお店 うるる」と書かれています。
筆者にピッタリのお店ではないですか!
しかし、昼から酒を飲みますと、この後の水辺ウォーキングが千鳥足となりますので、我慢することにしました。
鮭の煮つけ定食を頼みましたが、あっさり目の美味です。
次は夜に来て、牛タンしゃぶしゃぶと日本酒飲み放題にして味わおうと考え、お店を後にしました。
2-6.東横堀川水門(ひがしよこぼりがわすいもん)
高麗橋から東横堀川を下流側へ向かいますと、東横堀川水門が現れます。
上流側から撮影
下流側から撮影
東床掘川水門は、
・高潮の防御・水位の制御などの治水的な役割
・水質の浄化機能・閘門機能などの役割
などを備えています。
2-6-1.役割1:高潮の防御
大雨や高潮により水位が上昇する時は、水門を閉めまちを洪水から守ります。
2-6-2.役割2:水位の制御
道頓堀川や東横堀川は、潮の干満によって水位が変動する感潮河川であることから、水位を水門により一定の範囲内で制御します。
2-6-3.役割3:水質の浄化機能
上流の東横堀川と下流の道頓堀川の水門を制御することにより、寝屋川からの汚れた水の流入を阻止します。
大川(旧淀川)のきれいな水を東横堀川・道頓堀川に導入しています。
満潮時前後
水位が潮汐(ちょうせき)変化に伴い上昇する満ち潮時に各河川の水門を開放します。
満ち潮時は、寝屋川からの河川水の流入が潮汐変化に伴い阻止されます。
引き潮時
引き潮時にかかる時に、東横堀川水門を閉め、寝屋川からの河川水の流入を阻止します。
* 引き潮時は、寝屋川からの河川水が、土佐堀川・堂島川を通して下流へ流下します。
近年、水門操作による河川浄化などの様々な水質改善対策を行われた結果、水質は年々向上しました。
現在では、BODが3mg/l以下の良好な河川水質になっています。
それに伴い、コウライモロコ・オイカワ・ブラックバスなどが生息しています。
2-6-4.役割4:閘門機能(こうもんきのう)
水門の前後で水面の高さが違う時、水面の高さを一定に保ち、船舶を航行させることができる閘門機能を有しています。
入船する場合
船が水門内に入ります。
次に上流側の水門を閉じます。
出船する場合
下流側の水門を閉め注水します。
上流側と水位が揃えば上流側の水門を開け、船を通します。
なお、舟やカヤックなどで東横堀川水門や道頓堀川水門を通過する際、事前に大阪市へ申請する必要があります。
その詳細につきましては、後述の「5.参考・引用WEBサイト」にて案内する大阪市のWEBサイトをご覧ください。(※4)
2-7.東横堀川4番橋:平野橋(ひらのばし)
東横堀川水門を下流側へ向かいますと、東横堀川の第4番目の橋である平野橋が現れます。
東横堀川の下流側右岸から撮影
ここで、平野橋から農人橋へ向かうウォーキングルート図を挙げます。
(平野橋 → 農人橋)
2-8.東横堀川5番橋:大手橋(おおてばし)
平野橋を後にし、東横堀川の下流側へ向かいますと、大手橋が現れます。
東横堀川の上流側右岸から撮影
大手橋の右岸橋詰に案内板が設置されていました。
その内容を引用します。
下図は、案内板に記載されていた大手橋です。
2-9.東横堀川初:本町橋船着場
大手橋を後にし、東横堀川を下流側へ向かいますと、左岸に本町橋船着場が現れます。
大阪市が管理しています。
大阪府市が管理するクルージングの船着場地図は下図の通りです。
(出所:2017-2020水都大阪コンソーシアム)
上記で紹介しました「e-よこ会」の発足は、本町橋のたもとに東横堀川初の船着場を造ることを目的として、2006年に発足しました。
10年に及ぶ活動が実り、2015年に完成しました。
また、2019年末には、船着場北側の公園がリニューアルオープン。
「e-よこ会」のメンバーが植えた花壇も完成しました。
2-10.東横堀川6番橋:阪神高速本町インターチェンジランプ橋
東横堀川第6番目の橋は、阪神高速本町インターチェンジの出口専用ランプ橋です。
本町橋船着場から撮影
本町橋船着場から撮影
2-11.β本町橋(ベータ本町橋)
2021年8月28日、水辺のにぎわい創造拠点「β(ベータ)本町橋」がオープンしました。
本町橋から撮影
東横堀川左岸下流側から撮影
「β本町橋」の主な事業内容は、下記の4点です。
- 日常的な水辺のにぎわい創出
- 水辺のにぎわいと連携した舟運の活性化
- 地域に根差した拠点
- 維持管理事業
なお、β本町橋の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
2-12.東横堀川7番橋:本町橋(ほんまちばし)
東横堀川第7番橋は、本町橋です。
本町橋は、築100年を経過する現役の道路橋です。
そのたたずまいには、威厳すら感じます。
東横堀川の上流側左岸から撮影
本町橋の右岸橋詰に案内石碑が設置せれていましたので、その内容を引用します。
2-13.東横堀川8番橋:農人橋(のうじんばし)
東横堀川第8番橋は、農人橋です。
東横堀川右岸上流側からフェンス越しに撮影
農人橋上にて、阪神高速道路のジャンクションを形成しており、道路橋が立体的に交差します。
3.都市河川を覆う首都高速道路・阪神高速道路の動向
以上で、東横堀川ウォーキングの前半を終了します。
高麗橋や本町橋といった著名な橋が架かかり、道頓堀川水門が多様な役割を担っていました。
写真を見てもわかりますように、東横堀川の上部空間を阪神高速道路が覆っています。
3-1.日本橋川を覆う首都高速道路周辺の動向
東京の日本橋川においても同様に、首都高速道路が川の大半を覆います。
日本橋川周辺の団体や住民は、50年以上の歳月をかけて、日本橋に青空を取り戻す運動を続けてきました。
その結果、首都高速道路を日本橋の上流側と下流側それぞれ約1kmずつ地下に潜らせることで、都市計画決定しました。
しかし、その工事に対して、3,600億円にのぼる巨額の資金を投じることになります。
なお、首都高速道路の地下化の経緯については、下記の記事をご覧ください。
3-2.東横堀川を覆う阪神高速道路周辺の動向
逆に、東横堀川周辺の団体や住民は、阪神高速道路が東横堀川を覆う環境を、活かす方向で模索しています。
橋桁をスクリーン替わりにし、映像を流しています。
引き続き、東横堀川の下流側を歩きます。
水辺の様子を綴りますので、よろしければご覧ください。
4.大阪「水の回廊」:東横堀川デザインコンペ(Zoom de コンペ)開催・結果発表
2020年6月~9月、『大阪「水の回廊」デザインコンペ(Zoom de コンペ)』が開催されました。
筆者も初期段階において、審査員選定や宣伝活動(Facebook、Twitter)などで関わりました。
良いアイデアが満載となりましたのでご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=KkpodrSgChs
「動画を再生できません」と表示された場合、「YouTubeで見る」をクリックしてください。
【主催】
・大阪「水の回廊」東横堀川デザインコンペ実行委員会
・土木学会 建設マネジメント委員会 公共デザインコンペティション研究小委員会
5.お役立ち情報案内
お役立ち情報を案内します。
ご活用ください。
5-1.都内3.8万円〜家具家電付き【クロスワンルーム】
家具家電付きのワンルームというカテゴリーでは、一般的には都内で10万円以降が多くなります。
クロスハウスは、家賃3.8万円〜(平均6万円台)でご用意しており、人気エリア物件も多いため、 競合他社とも差別化を図れます!
◆ポイント◆
- 敷金0円、礼金0円、仲介手数料0円!初期費用5万円のみ
- 東京なのに、家賃が38,000円〜
※別途管理費なし - 家電はTV・冷蔵庫・洗濯機・エアコン・電子レンジなど
- 家具はベッド・机・椅子・テレビ台・カーテンなどが備え付け
※家具家電の内容は物件により多少異なります。
5-2.【ポータブル電源】アウトドアや防災に活躍!大容量でコンセント使用可能なJackeryポータブル電源
◆ポータブル電源のセールスポイント◆
ポータブル電源は、家庭用コンセント(AC)USBなど 豊富な出力を装備している蓄電源です。
いつでもどこでも電力を確保し、 長時間使用することができます。
キャンプ、車中泊、夜釣りはもちろん、 災害時(停電)に頼りになる存在です。
5-3.大阪の水辺に関連する書籍案内
5-3-1.【「水都」大阪物語】:橋爪紳也著
本の詳しい内容につきましては、下記の書籍タイトル部分をクリックしてください。
5-3-2.【大阪淀川歴史散歩】:都市研究会編
本の詳しい内容につきましては、下記の書籍タイトル部分をクリックしてください。
5-3-3.【重ね地図で愉しむ大阪「高低差」の秘密】:梅林秀行監修
大阪「高低差」の秘密」
本の詳しい内容につきましては、下記の書籍タイトル部分をクリックしてください。
6.参考・引用WEBサイト
※1 「大阪・高麗橋 澁谷」 株式会社澁谷利兵衛商店
※2 「東横堀川水辺再生協議会(e-よこ会)」
※3 「道頓堀川水門・東横堀川水門」 大阪市
https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/cmsfiles/contents/0000010/10856/02J.pdf
※4 「東横堀川水門及び道頓堀川水門の航行について」 大阪市
https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000002546.html
※5 「水都大阪」 2017-2020水都大阪コンソーシアム
コメント